夫婦財産契約を結ぶかどうか
結婚前後の財産の扱いについて、弁護士相談前に2人の希望や確認したいことを整理するテーマです。専門家に伝える前提の準備メモとして残します。
このテーマについて
民法755条1では、夫婦は婚姻前に財産に関する契約(夫婦財産契約)を結ぶことができると定めています。 この契約は登記所に登記することで第三者にも対抗できますが、日本では活用例がまだ少ない制度です。
夫婦財産契約で定められる主な内容は、「法定財産制2(民法が定める標準的なルール)を変更する」ことです。 例えば「婚姻中に得た財産をすべて個人所有にする」「特定の財産を共有から除外する」などが考えられます。 ただし、第三者に対する効力を持たせるには登記が必要であり、手続きが一般的な婚前契約より複雑です。
「契約のレベル」を選ぶ
実務的には、次の4段階のどれにするかを2人で選ぶことになります:
- 私文書: 2人で書いた合意書。当事者間の合意として記録に残せます(有効性は内容により個別に判断されます)
- 専門家チェック付きの私文書: 弁護士・行政書士に内容確認してもらう
- 公正証書: 公証人が本人確認・意思確認をした上で作成。証拠としての強さが大きい
- 登記された夫婦財産契約: 第三者に対しても効力を主張できる(債権者対策など)
どの形式が適切かは、資産状況・目的・第三者に対抗する必要があるかどうかによって異なります。事業承継や対外的な債権者リスクなど第三者対抗を意識する場面では 4.(登記)が論点になります。迷う場合は、婚姻届の提出前に弁護士へ相談することをおすすめします。 契約の作り方・公正証書化のステップ感は 婚前契約の書き方と「書いて効くこと」 のテーマで詳しく扱います。
4つの「残し方」の違い
- 話し合いメモ … 位置づけ: 事実・希望の整理/用途: 弁護士相談前の準備/注意: 契約書ではない
- 私文書の婚前合意 … 位置づけ: 当事者間の合意書/用途: 財産・生活費等の確認/注意: 有効性は個別判断
- 公正証書 … 位置づけ: 公証人が関与する文書/用途: 証拠力・一定の金銭債務の執行/注意: 万能ではない
- 夫婦財産契約登記 … 位置づけ: 民法上の財産制変更/用途: 第三者対抗を意識する場面/注意: 婚姻届前・登記が重要
登記まで考える場合、登記は婚姻届の提出までに済ませる必要があります。公正証書化や登記には準備期間がかかるため、提出予定日から逆算して段取りを決め、迷う場合は提出前に弁護士へ相談してください。
「単に婚前財産を区別したい」だけなら別テーマで
「結婚前に持っていた貯金や株を、結婚後も自分のものとして区別したい」だけであれば、登記を伴う夫婦財産契約までは必要ないことが多いです。 通帳を分ける・残高証明を残す・私文書での合意書、といった実務的な手段で十分なケースは 結婚前の貯金や資産をどう扱うか (結婚前の貯金や資産をどう扱うか) のテーマを参照してください。 このテーマは、その上で 「登記までして第三者に対抗できる強さがほしいか」 を判断する場面で読むと役立ちます。
2024年の民法改正で安定性が増した
これまで、夫婦間で結んだ契約は民法754条により「婚姻中はいつでも一方的に取消可能」とされており、婚前契約・婚後契約の安定性に大きな弱点がありました。 2024年の民法改正により、この 夫婦間契約の取消権は廃止 (2026年4月施行)。婚前契約も婚後契約も、通常の契約と同様の安定した拘束力を持つようになりました。これにより、特に婚姻後に状況に合わせて合意を作り直す「婚後契約」の選択肢が現実的に使いやすくなっています。
Footnotes
上から順番に答えていこう
夫婦財産契約に、どのくらい関心がある?
夫婦財産契約は婚姻届前に結ぶ必要があり、登記も必要です。日本では年間数十件しか使われない制度ですが、状況によっては有効です。
結婚後の財産ルール、どんな考え方が近い?
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婚姻届の提出前に間に合わない場合、どうする?
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文書化のレベルは?
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